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密猟界

第7章 美しき獣たち

 うなだれるユノが顔を上げると、塑像のようなチャンミン、全裸で立っている。
 後ろ手の鎖が荒々しく外され、身体に金の環だけをつけたユノ…。
 そのまま、隅のベッドに放り投げられたユノ、チャンミンは足下の十字架を足の指で拾い上げ、後ろの暖炉に蹴り飛ばす─炎が舞い上がった。
 仰向けのユノの身体の上に跨がり、チャンミンは小さい唇をこじ開けるように、自身を捩じ込んでいく。ユノは自分のなかで、何か大切なものが、壊れていくのを感じた。
 ……やがて、チャンミンは岩盤を彫り込んだような体を、ユノの上から放す。ユノの口元には白濁の痕…。
 目を閉じ、荒い息を吐く逞しい雄の肉体を、汗が濡らす。冷ややかな視線をそれに注ぎ、「哀しい生き物ですね。雄ってのは」そう云って、ユノの顔にチャンミンは唾棄した。薄く目を開けるユノの頬を、チャンミンの唾液が泪のように、流れ落ちる。
 (チャンミン)唇を花弁のようにユノはひらいた。無言の熱い視線のチャンミン。
「ど─うして…」「僕にね」途切れがちの声を遮った。「シウォン兄さんが云ったんです」ちいさな唇は動かない。「ユノじゃお前を幸せに出来ない。兄さんそう云ってました」

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