
密猟界
第7章 美しき獣たち
(チャンミン)……
頭がグラグラし、目眩がする。顔をかぶりを振るように左右に動かすと、ポタポタと鼻血が剥き出しの固い太腿に、落ちた。「僕、ひとを撲ったのはじめて」声がきこえて、耳がじんじんする。「撲られたことは、あるけどね」再びの声に、耳の奥がまたジーンとした。鼓膜が破れたのかもしれなかった。「チャンミン」掠れ声が、口のなかで血と混ざり合う。「ユノ」黒い瞳が、巨龍の双眸を思わせた。
一重瞼の東洋的な眼が、潤み、チャンミンを見る。ピンクの薔薇の小さな蕾のような唇が開きかけた。
「チャンミン、どうして」耳のなかが、喋るとツーンとした。
チャンミンが無言でユノの首筋に指を這わせる。「こんなもの…」ユノの首筋は、紅く染まる。細い鎖が引き出される。指先が深い銀のいろの十字架を摘まみ上げた。 (…ア)「ぶら下げて、クリスチャンでござい─ですか」云って、鎖を引きちぎる。(チャンミン)「それ、お前がくれた」「僕のせい?」ユノが首をゆらゆらと力無く振ると、また新しい血がポタリと落ちた。うつむき、黙って十字架を手のなかで弄ぶチャンミン…黄金の髪を片手でかきあげる。
頭がグラグラし、目眩がする。顔をかぶりを振るように左右に動かすと、ポタポタと鼻血が剥き出しの固い太腿に、落ちた。「僕、ひとを撲ったのはじめて」声がきこえて、耳がじんじんする。「撲られたことは、あるけどね」再びの声に、耳の奥がまたジーンとした。鼓膜が破れたのかもしれなかった。「チャンミン」掠れ声が、口のなかで血と混ざり合う。「ユノ」黒い瞳が、巨龍の双眸を思わせた。
一重瞼の東洋的な眼が、潤み、チャンミンを見る。ピンクの薔薇の小さな蕾のような唇が開きかけた。
「チャンミン、どうして」耳のなかが、喋るとツーンとした。
チャンミンが無言でユノの首筋に指を這わせる。「こんなもの…」ユノの首筋は、紅く染まる。細い鎖が引き出される。指先が深い銀のいろの十字架を摘まみ上げた。 (…ア)「ぶら下げて、クリスチャンでござい─ですか」云って、鎖を引きちぎる。(チャンミン)「それ、お前がくれた」「僕のせい?」ユノが首をゆらゆらと力無く振ると、また新しい血がポタリと落ちた。うつむき、黙って十字架を手のなかで弄ぶチャンミン…黄金の髪を片手でかきあげる。
