
密猟界
第7章 美しき獣たち
下の薄暗がりを覗くユノに、「見えます? ユノ」「…あ…」黒い石の墓。てっぺんに、銀の針を組んだようにみえる十字架がある。
ユノは十字を切り、チャンミンは瞑目した。「墓地か─」石段の近くに寄り、黒豹が蹲った形の石を眺める。
「チャンミン、俺。降りられない」「ユノ」そっと肩を抱き、石段からユノを引き寄せ、「死者の眠りを覚ますかもしれません。控えましょう」囁き声で、ユノの耳もとに云った。
……「脚が痛い? ユノ…」「痛みだした。さっきからな」「戻りましょう」「悪い、チャンミン」「2時間も歩いたんですよ、脚も疲れます」「うん。不甲斐ないけどな」「いいんですよ。出口はわかったし、休んで、出直しましょう」「出口へは、階段降りて、お墓の端をそっと通らせて、貰おう」「行き止まりは無いと思います。お墓が天窓を向いて建ってる。外から訪ねるひとが、あるんですよ」ふたりは、地下室へのドアの前に戻って来ていた。
チャンミンがドアを開けかけ、「石? このドア頑丈だな、重いだろ」ユノは石造りのドアの厚みを、手のひらで確かめる。
ユノは十字を切り、チャンミンは瞑目した。「墓地か─」石段の近くに寄り、黒豹が蹲った形の石を眺める。
「チャンミン、俺。降りられない」「ユノ」そっと肩を抱き、石段からユノを引き寄せ、「死者の眠りを覚ますかもしれません。控えましょう」囁き声で、ユノの耳もとに云った。
……「脚が痛い? ユノ…」「痛みだした。さっきからな」「戻りましょう」「悪い、チャンミン」「2時間も歩いたんですよ、脚も疲れます」「うん。不甲斐ないけどな」「いいんですよ。出口はわかったし、休んで、出直しましょう」「出口へは、階段降りて、お墓の端をそっと通らせて、貰おう」「行き止まりは無いと思います。お墓が天窓を向いて建ってる。外から訪ねるひとが、あるんですよ」ふたりは、地下室へのドアの前に戻って来ていた。
チャンミンがドアを開けかけ、「石? このドア頑丈だな、重いだろ」ユノは石造りのドアの厚みを、手のひらで確かめる。
