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密猟界

第2章 雨の外へ…

 身体を海老のように折り曲げ、ユノは咳き込みはじめた。部屋のなかは、徐々に暗くなっていった。



 「ユノ」目を開けたユノにチャンミンが、「何で…叫んでたんです」「なんで…って、だって─」「疲れて、うたた寝して、変な夢みましたか」「あの─。でも女が、……」「また、女の話ですか」露骨にチャンミンが、嫌な顔をする。
 「だけど…」「いいです。夢のことは─それにしてもユノ。かわいい」 口元を綻ばせ、「父さーん、って叫んでましたよ?」「…えっ?」小さな顔が赤らむ。「たいてい、オンマーッ!ですよ」「う…ん」赤らんでいる小さい顔に、チャンミンは整った顔を寄せ、「おウチ、ユノ─帰りたい?」揶揄い声を出して訊く。
 「俺の家はチャンミン…、お前─だもの」その言葉に、嬉しそうにチャンミンは、ユノを抱き寄せた。



 サンドイッチとカフェ・オレの夕食を、ベッドの脇のスタンドの明かりの下で、二人、摂っている。
 部屋は小さく、礼拝堂とは対照的に天井も低いので、小型のヒーターはすぐに室内を温め、二人の身体も髪も服も、乾いた。

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