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第28章 約束と絆

『…ア・・・ホ。

お前は…ホンマに…っ
アホやなぁっ…

そないなコトをっ…
…ホンマ・・・かなわんわ…っ』




言葉を探しながら


カイトがしがみつくアイルを
そっとはなした



『!?…アイル
お前…膝!血ぃ出てんで?!…』



『~…ぁ、さっき・・・ころんだ…』




『あ~あ~あ~…アホやし…。
みしてみぃ~…
ホンマ・・・無茶苦茶しよってからに…』




カイトがブツブツ言いながら
ハンカチを出してアイルの膝に巻く




『イタイのイタイのとんでけぇ~…

・・・・・やで?(笑)』




『ぷ・・・また
そういうコト言う(笑)・・・ありがと』




『クス…。ほな・・・オレもう行かな…』




カイトが
アイルからはなれるように方向を変えた





『…っカイト・・・』






『〃約束〃』








カイトが足を止めてもう一度振り返る。






アイルのかけた時計に手をあてて
まっすぐアイルをみて微笑むカイトが…
アイルの両肩に手を添える。








『約束する…。

オレは・・・あきらめたりしない。

お前も…幸せになれよ?・・・必ず』










標準語の・・・カイト。







そして・・・






カイトが

アイルのオデコに

そっとキスした。








〃あ・・・・・・〃






『・・・オレもアイル大好きだ。

ありがとな・・・。

…またな・・・アイル…』







『カイト・・・』





『クス・・・お前は

あっちだ・・・ホラっ…』



『ぁ…』


カイトがアイルの体を
くるりとオレの方へ向けて
トンと背中を押した


そして…イタズラな顔をして
オレにチロリと舌を出してピースする

〃ベェ~(笑)〃…と
笑ってエスカレーターに乗り込んだ



『…のヤロ(笑)・・・クス…っ』

〃またな〃


オレもカイトに手を振る


『かっ…カイトっ…』


慌てて振り返ったアイルの先には
帽子を目深にかぶり直して
背を向けるカイト


『カイトっ…!
またねっ…!・・・またねぇっ…!』


『…♪』


帽子で顔を隠して
カイトはもう振り返らずに
背を向けたままオレ達に手を振って進む







オレには…カイトの目からこぼれる何かが
かすかに見えた気がした

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