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第27章 嫉妬

オレの視線が痛そうなアイルは
必死に言葉を探して見えた



『それでね・・・』





『…~・・・アイル?

オレ別に・・・何も言ってねぇけど…?』





『ぇ・・・っ…』




オレの一言で
ハッとしたアイルが
更に気まずい顔をする


墓穴を掘った…とでもいうような



オレはそんなアイルを

少し冷たい目で・・・見ていたと思う




必死に言い訳しなきゃならないことでも
あったって言うのか?


明日オレと約束してるから?


今日なら…バレないと?


こんな時間に…

こっそり会ってたとでも言うのか…?



『ふふ・・・なに固まってる?
それで?…何だって・・・アイル?』



ワザと失笑気味にアイルに聞く

オレの低い声がきっと…
アイルを萎縮させている


『・・・』


『何か言おうとしたろ?…言ってみろよ?』



アイルは完全に黙ってしまった


見かねたカイトが割って入ってくる



『いやなぁ、ホンマに偶然会うてな!
なんや具合悪そうやって、送ってきてん!
まぁ~こぅ寒~てはなぁ…』



片やコイツは…
ひょうきんなキャラも
表情も・・・崩さない


ある種の〃冷静〃そのものだ



『悪い…カイト
ちょっと黙っててくれるか?
オレ…アイルに聞いてんだ』



口をつぐんだカイト

そしてオレは再びアイルに目を向ける



『か…帰りに
たまたま会ったの。本当に

暗かったから…カイトが送ってくれたの
寒いし…お茶飲んで少し話してただけ…なの』


『・・・そう』



〃怯えたような目で…オレを見て…〃





『本当だよ…っ?』



『ハハ・・・べつに誰も
ウソだなんて言ってないだろ?』




『リョウキに…誤解されたくなかったの。
リョウキに…ウソついたって…
思われたくなかったの。それだけなの…』



『…~わかったよ
じゃあな・・・おやすみ』




『リョウキ…』


『…具合悪いなら
明日もムリすんなよ?ちゃんと休んで。
カギ、忘れずにかけろよ…。じゃあ』



オレはすり抜けるように
アイルの部屋を後にして歩き出す



『~ほな、オレもう行くで
アイル~!あったこうして寝ぇや?
ほんならな!』



『おやすみ・・・なさい』



力なく…不安げに言ったアイルを残して
二人でマンションを後にした

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