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第23章 やさしさで溢れるように

うっすらと涙の滲んだアイルの目

横目でオレを見上げて黙っている


『ふふ…アイル、恐いか?』
『…』

アイルは答えない


アイルと目を合わせたオレは更に表情を造った

ニッコリと?ニヤリと?…
意識して口角をあげて満面に微笑む
不気味なくらいの満面な笑み

思い切り作り笑いしてアイルをみる


『恐いだろ…。最低だよな。
こんな酷いことするなんてなぁ?ハハハ』

『そう…思うなら…はなして』


ようやくアイルが言葉を発する

だけどオレは
それでもオレは…


『ん、やめない。アイル~…それから?フフッ』

『…どうして…なんのために…こんな』


横を向いて話すアイルの頬を掴んで前を向かせて

わざとオレの〃気味の悪い笑顔〃と対面させた

『アイルが思ってることちゃんと言わないから』
『…』

『言うまでやめない』
『…どいて』

『他には?』
『…もう、やめて』

『ハハハっ!アイル~?
素直じゃないな…言えばいいだろ?

感じてる事を
ちゃんと素直に言えって言ってただろ?

一緒にいた時にも…。
いつも〃こうしてる〃時に…さ』


『…っっ?!』



『ふふっ…思い出したか?』


手段を選ばずにオレは
首スジにキスしてアイルに酷いことを言う

それはそれは…酷いことを
アイルがビクッと反応した


『…ひどい』
『~…』

アイルの目から涙が流れた


『ひどい…。最低。やめてよ…
そこまで…奪わないでよっ…!?』

『…』

アイルの声に一瞬うろたえる。

『私の〃思い出〃まで…奪わないで。
大切な…私の幸せな思い出まで…っ
そんな風に汚さないでよっ…』

『……っ』

心臓がわしづかみにされたみたいに…
心がギュッと締め付けられた

だけど…オレは退くに退けない。


『意味がわかんないよ…最低…。なんで…』

『ふふふっ…残念だけど
オレはそーゆーヤツだから?』


『……ウソ』

『オレがこうしたいからしてんの♪…』


『ウソ…』

『ウソじゃないだろぉ~?
目の前にいる男を自分でよくみてみろアイル。
これでよくわかったろ?
コレがオレなんだぞ。』


『……』

『フフッ…最低だろ?軽蔑するよなぁ?!
二度と顔も見たくないほど
〃大嫌い〃になったろ?アイル…』

『…』

肝心な所でアイルは黙ってしまう。

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