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第13章 あたたかい風

「コラ!コウスケ!
こんにちはでしょ~?!

アイちゃん、よかったぁ
また宜しくね!」


母親らしき人に叱責されても
そっちのけで

犬を抱いてうろちょろするのは…
5才くらいの子ども



『あいる おとこにでも ふられて
やすんだのか?』


「コウスケっ!あんた、いい加減にっ!!」


『あいるは
おれがよめにもらってやるから
しんぱいすんなよ!』




『ぷ、…アリガトね コウスケ』








・・・マセガキが




一人いるっつってたっけなぁ(笑)






母親に、べーっ と舌をだした子どもが
オレのいるテーブルの方を
走り抜けようとする



ツンツン・・・



コウスケの肩をつついて止める




『?』

『よぉ ぼっちゃん(笑)』





『…にーちゃんだぁれ?』


『…オマエの…~ライバルだな?
これから よろしくなっ(笑)』



コウスケに肩を組んでささやく

ニンマリと笑って(笑)


言ってる意味がわからないコウスケは
トコトコと走っていった


ガキ相手に
大人気ない対応してみたオレ…(笑)



アイルがようやくオレに気付いたようで
〃あっ〃って顔してオレの方へ来ようとする

〃いい、いい、お客さんのトコ行け〃

と合図して返す


オレは驚いていた

アイルの集める信頼と人望に
…そして

「アイちゃん~健康診断
メタボひっかかってさ~
ランニングすることにしたから
アイちゃん毎日散歩の時
励ましてくれよな~?たのむよ~」


「ったく!飲み過ぎなのよっ
みっともない腹見せないの!
~三日坊主になんないように
アイちゃん監視してやってくれる?」


『ふふっ。はい、わかりました』






アイルの顧客…

この人達の
ごくごく自然な振る舞い、その優しさに



アイルが心苦しくないように
元の生活を変えなくて良いように…
居心地が良いように


アイルが居場所をなくさないように
まるで当たり前みたいに…


自然に振る舞うって
こういうのを言うんだな


この辺の人達はみんな
アイルの家族みたいな人達だ

アイルをよく知っていて
アイルの事が大好きで…

アイルを受け入れてる


数組の顧客を見送って
再びアイルがオレの方を


いや……オレじゃない




斜め前にいる

いつかの常連のおばあさんだ

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