
Best name
第10章 暗闇の底に
『……洗ってる』
アイルの一言目でオレは
頭を強く殴られたような衝撃に言葉を失う
それでも…オレが取り乱す訳にはいかない
『汚れたから……洗ってる…』
感情がまるでないかのようなアイルの声
オレは震える声を必死に抑える
アイルの腕…身体が氷のように冷たい
『…。ん…~そっか。でも、もう良いだろう?
カゼひくぞ…。戻ろう?…な?』
『…』
『~アイル?』
『ゃ…。リョウキ…触っちゃダメ
リョウキまで…汚れちゃう
あたし…汚ないから…』
感情のない
淡白な声でアイルがオレの手をほどこうとする
『アイル…何を…』
『あたし…もう…
リョウキに愛してもらう資格はない
あたし もう……こんなカラダじゃ…
だから…もう』
『…。アイル!?…何言ってんだよっ!!』
オレは震える声を荒げて
アイルを抱える手の力を強めた
アイルは
かすかに微笑んだまま乱れずにいた
『離して…。も少し…』
なんて…ことを
『アイル、ダメだ!!』
『もう少し…あと…チョットだけ…』
アイルがオレの腕を振りほどくように
身をよじらせて前に進む
マズイぞ…
アイルはすでに背中まで水に浸かっている
この川…こんなに深かったのか
普段外から見るより、うんと流れも速い
これ以上水深が進んでしまえばアイルはおろか
オレも足をとられそうだ
ヤバい…これ以上は…
加えて灯りも殆どない
水の音、流れ
非常に不気味だ
ズブッ…
アイルが突然首まで沈む
急に深くなった所にきた
もうアイルの足は着いていないだろう
ヤバイ!…もうダメだ!
オレはアイルを羽交い締めして
川岸の方向を確認し、急いで後退する
『っっ…!』
『ゴホッ…!』
水を飲んだか…?!
アイルの顎を上げさせながら戻れるだけ戻る
足の着くところ…
アイルの腰まで見える所で一度止まった
アイルがオレの手を振りほどいた
『ジャマ…しないで…。ふふ…言われたの…
あの時も…今日も。"おまえが悪い"って
私みたいな女がいるから悪いんだ、って…
あたしが…いなくなれば、もうこんな事ない
リョウキにだって…もうこれ以上…』
…どうすれば良いんだ
こんなにボロボロに傷ついて…
追い詰められたアイルにオレは…
オレなんかが…何を言えば良いんだ
アイルの一言目でオレは
頭を強く殴られたような衝撃に言葉を失う
それでも…オレが取り乱す訳にはいかない
『汚れたから……洗ってる…』
感情がまるでないかのようなアイルの声
オレは震える声を必死に抑える
アイルの腕…身体が氷のように冷たい
『…。ん…~そっか。でも、もう良いだろう?
カゼひくぞ…。戻ろう?…な?』
『…』
『~アイル?』
『ゃ…。リョウキ…触っちゃダメ
リョウキまで…汚れちゃう
あたし…汚ないから…』
感情のない
淡白な声でアイルがオレの手をほどこうとする
『アイル…何を…』
『あたし…もう…
リョウキに愛してもらう資格はない
あたし もう……こんなカラダじゃ…
だから…もう』
『…。アイル!?…何言ってんだよっ!!』
オレは震える声を荒げて
アイルを抱える手の力を強めた
アイルは
かすかに微笑んだまま乱れずにいた
『離して…。も少し…』
なんて…ことを
『アイル、ダメだ!!』
『もう少し…あと…チョットだけ…』
アイルがオレの腕を振りほどくように
身をよじらせて前に進む
マズイぞ…
アイルはすでに背中まで水に浸かっている
この川…こんなに深かったのか
普段外から見るより、うんと流れも速い
これ以上水深が進んでしまえばアイルはおろか
オレも足をとられそうだ
ヤバい…これ以上は…
加えて灯りも殆どない
水の音、流れ
非常に不気味だ
ズブッ…
アイルが突然首まで沈む
急に深くなった所にきた
もうアイルの足は着いていないだろう
ヤバイ!…もうダメだ!
オレはアイルを羽交い締めして
川岸の方向を確認し、急いで後退する
『っっ…!』
『ゴホッ…!』
水を飲んだか…?!
アイルの顎を上げさせながら戻れるだけ戻る
足の着くところ…
アイルの腰まで見える所で一度止まった
アイルがオレの手を振りほどいた
『ジャマ…しないで…。ふふ…言われたの…
あの時も…今日も。"おまえが悪い"って
私みたいな女がいるから悪いんだ、って…
あたしが…いなくなれば、もうこんな事ない
リョウキにだって…もうこれ以上…』
…どうすれば良いんだ
こんなにボロボロに傷ついて…
追い詰められたアイルにオレは…
オレなんかが…何を言えば良いんだ
