テキストサイズ

ビタミン剤

第4章 こんなの、はじめて



ガチャリと扉が開いて、
翔ちゃんの手で助けてもらいながら
なんとか立ち上がって
よろけるように一歩一歩。

翔ちゃんに腰を抱き抱えてもらい
ながら、進むけど
足取りがふらふらしてしまう。



「翔ちゃん…
はぁ、…ぁ…ぁうぅ。」


「雅紀、まだガンバれる?
もう無理?
抱っこしてあげようか
その代わり部屋に戻っても
続きはしてあげれないからね。
歩けないくらい
具合の悪い雅紀にムリなんて
させられないしね。」


「ふっ…やだぁ…できる…ぁ
ん…ぁ…歩け…る。」


こんな身体のまま眠ることなんて
絶対にできない。
ちゃんと翔ちゃんに触って
もらって
この熱を冷ましてもらわないと。
自分でなんてどうすることも
できないから。


「えらいね。
雅紀はできる子だもんね。
お尻のトマト大丈夫?」


「あ、やん…
ぁダメぇ…翔ちゃんさわら…。」

もう力なんて抜けてしまってる。
翔ちゃんにすがりついて
なんとか歩けてるくらいの
状態だから。



「むちゃくちゃ可愛いよ。
雅紀のぜんぶどこもかしこも
可愛がって、ぜんぶ
俺のものだって教えてあげる。」

「…翔…ちゃん…ぁ…ん」


なんとか人には出会わずに
エレベーターホールまでたどりつけた。
壁にもたれて翔ちゃんに寄りかかって
自分で立ってる感覚とかまるでなくて。

最上階のフロアに到着したら
腰が抜けたみたいに
張り詰めてた気持ちが解けて
俺の意識は遠退いてた。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ