テキストサイズ

ビタミン剤

第16章 千夜一夜物語


サプライズのチーズケーキを渡すと
目元をうるうるさせながら感激してくれる相葉くんこういう所は、マジで素直でかわいいなぁとか思ったりする。


「あ、そうだこないだ貰った薔薇の花束さ、
ちょうど実家に帰った時に飾ってもらおうとしたらさ、おふくろと妹がきれいだしせっかくだから
ブリザードフラワーにしたらって言うから
今それやってもらってんだ。」


「ブリザード…?なにそれ?」

「ドライフラワーと違って色褪せずに
ずっとキレイなまんまで花を保存処理できる方法らしくてさ、けっこう女子に人気があるみたい。」

「…へぇ…そんなのあるんだ。」

「せっかくのキレイな薔薇なんだから
このまま枯らすのは勿体無いって言われてさ。」



しばらくの間黙り込んでしまう相葉くん
親指の爪を噛む様な仕草で、言葉をさがしてるのか、それとも…
さっきまでのやわらかい空気が一変する気がした。




「そう…なんだ
ずっと、枯れずに…そのまんま…」

「どしたの?」

「ごめん。少し疲れたみたい…
眠くなっちゃった。眠ってていい?」

「あ、うん大丈夫?」

「うん、平気。ごめんね、翔ちゃん…」


如何したんだろ?
急に具合が悪くなったのかな
一瞬、垣間見せた笑顔は切ないくらいに歪んでたように見えた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ