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ビタミン剤

第16章 千夜一夜物語

Aside


あのバラの花束が
ずっと枯れずにそのままで…
翔ちゃんのもとにあることになるなんて

……どうしよう

形として残らないから、いつかは枯れちゃうから
この想いと一緒に枯れて無くなってくれる
そう思ってたのに。


ヒック…グスッグスン…

ダメだそんなの
ぜんぜん堪えられないよっ


「相葉くん?もしかして泣いてるの。
ちょっ、ちょっと大丈夫、そんなに気分悪いの?」


ドラッグストアに寄ろうか、それとも病院に行く?運転しながらも、心配そうな声で俺の具合を気遣ってくれる優しい翔ちゃん。

あんなに楽しい1日だったのに
最後の最後で俺が台無しにしちゃう。





「翔ちゃん…ごめん俺ね、好きなの
………翔ちゃんのことが…好きなんだ。」



え?




俺を見つめてくる翔ちゃん

ハンドル操作がぶれて一瞬、車が左右に揺れたけど直ぐにしっかりと握って安全運転に戻ってくれた。
びっくりさせるつもりは無かったけど
堰を切ったみたいに、抑えてた気持ちがどんどん勝手に溢れていってしまう。



「翔ちゃんのことがずっと好きだった
あの花束は、密かな恋って意味を込めて贈ったの、だから…」


「相葉くんが…俺のこと…好き?」


「うん、ずっと前から翔ちゃんに恋してる
もう忘れようって最後の最後にこの気持ちを吹っ切るつもりであのバラの花束を贈ったの。

だからずっとキレイなまんまで翔ちゃんのもとで飾ってもらう資格なんて無いんだ」


「……恋して…る…俺に……」

「だから、枯れたら捨ててほしいの。」



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