
ビタミン剤
第14章 day off
「これ、はめてくれたの翔ちゃんでしょ?」
それはきらきら光るニノの左手の薬指の指輪。
「俺をお嫁さんにしてくれたのは翔ちゃんでしょ?
翔ちゃんの妹は俺にとってもかわいい妹ちゃんになるし、困ってるなら家族として助けてあげたい。」
「…でも……」
「せっかく翔ちゃんを頼って連絡してくれたのに俺たち二人だけじゃないよね、
家族みんなが認めてくれてて、応援してくれてるから翔ちゃんと2人でこうして暮らしていけてるんだもん。だからね?行こ。」
「ウワァーーンッッッかずぅぅーー!!
めっちゃ愛してるヨォォォオオオ」
せっかくの休日、なのに行き先は俺の実家。
今日だけは指輪をはめたままで出かけようねって玄関の扉を開ける前、長めのお出かけキスをしてから繋いでた手を名残惜しく放した。
気持ちは晴れないまま車を走らせていく。
信号で停車する度に手を繋いだり、放したりしてたけど、最後はギュッと強く握ったままで俺の実家に到着した。
おはようございまーす
……ただいま
「きやぁ、ニノくんおはよう。
本当にごめんね、せっかくのおやすみなのに無理矢理呼びつけちゃって。」
「あのさ、……俺もいるんだけど。」
「あ、おはよ、お兄ちゃんさっきはごめん
いきなり電話しちゃって。前からお母さんにお願いしてたんだけど急な学会がはいったとかでね。
どうしても都合が付かなくなっちゃたの。
ほらほらぁおじちゃんでちゅよ〜
なかなか会いに来てくれない忙しいアイドルの
翔おじちゃんでちゅからね〜」
ちっげえし!おにいちゃんだろうがっ!
