
ビタミン剤
第13章 ぼくのペット
新進女優とのスクープネタ
翔さんとドラマで共演してて、事務所の話題作りだと気にも留めてなかった翔さんらしかったけど。
俺は記事も写真も全てを鵜呑みにしてショックで食事も満足に出来なくなってしまってた。
売り出したい女優側も記事に便乗して
なにやらそれらしいおおげさな噂話とか、流出写真まで流したりしてまた、間の悪ことに俺の気心知れた友人がわざわざその内容を電話で教えてきたりしたから、翔さんの言葉よりもそれらを真に受けてしまったってのが事の顛末。
翔さんが浮気なんて有るわけ無いのに
様々な情報や、うわさ話、讒言とかを聞き分ける力なんてあの頃の俺は持ち合わせてなくて
自分自身が猜疑心の塊みたいに突っ張って尖って、虚勢を張ってすべて拒絶しようとしていた。
かなりひどい罵り方をして、今なら考えられない言葉とかを翔さんに向かって怒鳴り散らして暴言を吐き捨ててた俺のことを、心ごとすくいあげて愛おしさで包み込んでくれた。
対話する大切さ
一方通行でなく双方向から向き合って会話
心で通じ合うことがどれほど大切なことかを根気よく俺に教えてくれた
なにがあってもこの先翔さんの言葉だけは信じるってそう誓えた、あの日の出来事。
