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ビタミン剤

第7章 人魚のナミダ



「さてと、お邪魔しました。
俺らも帰るからね。
ほら、リーダー、マーくん
立ってよ、さっさと帰るよ。」


「ニノいろいろありがとな。
明日は悪いけど、レコーディングと
取材頼んだからね。」


「ほいほい。任せてくださいよって。
じゃあね、ジェイ。
なんも考えないでゆっくり休みなよ。」


俺のサイレントなありがとうの
言葉はニノにしっかりと伝わって
ウィンクを飛ばしてきた。

両肩にふにゃふにゃの2人を抱え
て帰ってくニノの背中に
もう一度ありがとうを送った。






「潤、はい、あーんして。」

グレープフルーツの一房を
一口サイズにして食べさせてくれる。
三切れ食べさせてくれる時には
翔さんの指先が果汁の雫で、
しっとりと濡れていた。

翔さんの指先にそっと舌先で
触れてから指先ごと唇で包み込む。


「……潤?」



いつでも
翔さんから先に触れてくれるのが
当たり前だった。
愛し合う行為だって
翔さんに全て任せっきりで
自分から誘ったりなんてなかった。


翔さんが恋しくて
ほしくてたまらない。



溢れ出す気持ち

抑えきれない情慾

他の誰とも違う。
目の前の櫻井翔にだけ俺の中で
芽生える感情。



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