テキストサイズ

ビタミン剤

第7章 人魚のナミダ


ごめん

ごめんなさい

ホントに…ごめんなさい


声にならない言葉を翔さんに届ける。
翔さんが頬を撫でてくれる
変わらない優しい仕草。


「潤、もっと潤にふれてもいい?」


伸びてきた翔さんの手を握って
俺の胸にあててみた。

感じてほしくて
翔、翔、翔って
俺の鼓動が脈打ってることを。


「潤のここ、まるで俺のことを
翔って呼んでくれてるみたい。
俺のここも同じだよ。
潤、潤って呼んでるから触ってみて。」


翔さんが直ぐ目の前に来てくれて
イスに座ってる俺を抱きしめてくれる。

翔さんの胸に抱きしめられて
伝わってくる鼓動。

潤、潤、潤

本当にそう聞こえてくるから
また涙が溢れてきた。




「今日の潤は泣き虫さんだね。
でも、今から
もっと泣かせちゃうけど大丈夫?」


顔を見上げた瞬間、
身体がふわりと宙を浮いたと思ったら
翔さんが抱き上げてくれて
寝室まで運んでくれる。



優しくベッドに横たえられて
翔さんからの始まりのキス。
翔さんの髪は半年前に比べて
少し長くなってて
でも熱さも肌の感触もなにも
変わらないまま。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ