
ビタミン剤
第7章 人魚のナミダ
「昨日はごめんね。
翔ちゃん帰ってくるまでジェイのそばに
居てるからさ、ゆっくりに寝ときなよ。」
俺のほうこそ、ニノに感謝したいくらいなのに。
言葉にできないもどかしさが目元に
こみ上げてきそうになる。
「翔ちゃんがいろいろ事務所に
掛け合って段取りしてくれたんだし。
素直に甘えちゃいなよ。」
ニノが布団をトントンしてくるリズムは
病人への労わりじゃなくて、
バンバンバンって突っ込みみたいな
強さのもの。
それがニノらしくて、うれしかった。
「ジェイ昨日もあんまり食べて
なかったじゃん。
腹減ったりはしてないの?」
「………」
まだ食欲はないよって首を横にふる。
「なんかさ、翔ちゃん必死に携帯で
マーくんにお粥の作り方習ってたよ。
単に米と水と塩くらいなのに、
なんで
あの人あんなに不器用なんだろ。」
翔さんと2人の時はいつも俺が飯を
用意してた。
たくさん作った料理をいつもいつも
美味い美味いって食べてくれてた。
皿洗いは手伝ってもらってたけど
料理に関しては戦力外通告してたんだ。
「おっ邪魔しまーす!!」
元気な声は相葉さんの声で
たくさんのスーパーの袋をさげて
部屋へ入ってきた。
