
ビタミン剤
第7章 人魚のナミダ
「なんか食べる、食欲は?」
まだなにかを口にしたい気持ちには
なれなくて、水分だけの補給。
もう一度眠っていいよと言ってくれる
翔さんの言葉に素直に従う。
「大丈夫、ずっとそばにいるから
安心して、おやすみ。」
翔さんがつないでくれてる指先の
ぬくもりを感じながら俺は再び
眠りについた。
「……!!」
覗き込む顔が翔さんじゃなくて
よく見知った顔だったんだけど
まさかここに居るなんて。
なんで?
「お、起きたのジェイ。
なによ、そのがっかりした顔。
翔ちゃんじゃなくてわるかったね。」
昨日俺んちから帰っていったニノが
目の前にいてる。翔さんから俺の
体調の事とかでメンバーに一斉に
連絡があったらしい。
「今週いっぱいジェイを休ませて
あげてほしいって。だからみんなで
変われる仕事の調整を手分けして
くれないかってね。」
「……………」
「ああ、もうムリしないでよ。
声も出ないんでしょうがっ!」
昨日のニノとの会話で俺が部屋を
飛び出したことに責任を感じて謝ってくる。
翔さんが仕事で自宅にはいられない
ことを聞いて代わりに俺の傍で
看病することにしてくれたんだ。
