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ビタミン剤

第7章 人魚のナミダ




「潤、俺からもキスしていい?」

ちいさくうなづいてみせた。

「…んっ…ンン…んッ。」

指先、てのひら、手の甲、手首

翔さんのパジャマを着てる俺の

鎖骨、首筋に、うなじ。


いつだってそうだった。

翔さんは隈なく全身にキスを施して
くれてた。翔さんのキスで放熱された
俺の熱量と、翔さんの発熱の熱さに
生み出される情熱が
まるで嵐の中で
愛し合うような激しさになって
何度も何度も意識を飛ばしたり
してたんだ。


翔さんの両手が俺の頬を包み込んで
くれる時には
別れてから誰にも反応しなかった
下半身がパジャマの中で
硬く変貌していくのを感じた。


「潤、…っ潤……潤。」


これ以上キスされると
きっともう、すぐ爆発することは確実で
だけど、
もっともっと翔さんにキスして
もらいたくて。

からからに干からびて色褪せてた
俺の中身が

翔さんの声で
キスで
ぬくもりで
色鮮やかな潤いを取り戻してる。

くちびるを少しだけひらかせて
舌を前に押し出して翔さんが舌を
絡ませてくれる瞬間を待ちわびた。



声を手放した人魚姫は王子様に
逢いに行ってどうなったの?


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