
ビタミン剤
第7章 人魚のナミダ
「たいへんじゃん?!
マネージャーに電話して、病院で
検査して、それから、スケジュール調整
ん、なに?どしたの?」
立ち上がりかけた翔さんの洋服を
引っ張って静止させた。
どこにも行ってほしくなくて
1人になる不安から?
それともそばにいて欲しいから?
行かないでとつぶやく。
声にならない言葉を
翔さんが受け止めてくれる。
翔さんが優しく頭を撫でてくれて
大丈夫だよ、
すぐにもとどおりになるからね?
そう言ってくれる。
力強い翔さんの
言葉に何度もうなづいてた。
俺は、ベッドに腰掛けくれた
翔さんの胸にしがみついて泣いた。
「大丈夫だよ、潤。
俺が潤の声を取り戻してあげる。
すぐにいつものカッコイイ松潤に
なるからね。」
翔さんのシャツを、涙で濡らして
しまってるのはわかってたけど、
どうにもとめられなくて。
背中にまわった翔さんの腕が優しく
抱きしめてくれる。
翔さんのにおい
翔さんのぬくもり
翔さんの心音
なんで手放したんだろう
こんなにもあたたかくて
こんなにもやさしくて
こんなにも
包み込んでくれてたのに。
