
キラキラ
第29章 バースト7
Sho
ちょっとしんみりした空気を払拭するために声をかけたけど、泣いてない、と力説する相葉くんをからかうのはすごく楽しくて。
かずの準備が終わるまで、さんざんいじってたら、
「翔さんそのへんにしたげて」
と、途中で、苦笑いしたかずの助け船が入った。
そうして、二人は、新しくできた商業施設で昼飯を食うのだと、ニコニコと連れだって出ていった。
「俺も出かけるね」
ちょっと小綺麗な格好で、自室をでてきた智兄。
デートかな……?
腕時計をはめる仕草に、嬉しい気持ちが透けて見えて、我が兄ながらこういうときは可愛らしいと思う。
「松岡さん?」
「うん。夕食いらないから」
「わかった。」
すると、潤がソファーから立ちあがり、智兄にペコリと頭を下げた。
「今回もご迷惑かけました……ありがとうございました」
「も、ってなんだよ……も、って」
智兄がクスクス笑う。
「おまえも俺の弟みたいなもんだから。気にすんな」
潤は、仔犬のような瞳で智兄をみている。
そんな潤を、大きな懐で、受け止めている智兄は、智兄の方が背は小さいのに、とてつもなく大きく見える瞬間だ。
智兄は、手を伸ばして、潤の頭をポンポンと優しく叩いた。
「……ゆっくり休んで帰れよ」
「……ありがとうございます」
「翔にたくさん甘えていけ」
「……」
ぶわっと真っ赤になった潤。
即座に思い出すのは、二人して見られた真っ裸、なのだろう。
ははっと楽しそうに笑う智兄に、その辺で……と、止めようとする俺は、さっき相葉くんをからかって遊んだ自分と同じだな、と思った。
