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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟


「でも…大の国のことを考えると…」

「優等生みたいな返事はいらねぇよ。あんたは、どうなの。姫のことまだ好きなんじゃねぇの」

なおも続けようとした言葉は、あきれるようなジュン王子の言葉が遮った。
口をつぐんでしまう俺に、ジュン王子がため息をついて、髪をかきあげた。

「…相思相愛なら、まだ別れるのは早計と思うがね」

「俺もそう思います。どちらかの気持ちが離れたのなら、しょうがないけど。まだ二人とも好きなんでしょ。……もしこの先結婚の話がでたら、その時に何が最善か、どうしたらよいか考えたらいいんじゃないんですか」

「大体、あの状態で託されても、姫は俺らを好きにはなってくれないと思うぜ?それが幸せだとでも?」

ジュン王子とマサキ王子にかわるがわる畳み掛けられて。
俺は力なく視線をおとし、唇をかんだ。

でも…だって。
じゃあ、どうすりゃいい?
姫は俺とは未来はつくれない。
俺がそばにずっといたら、姫の未来を潰すだろう?

布団をギュッとにぎり、押し黙る俺に、だめ押しのようにジュン王子が告げる。

「…姫は、あの日以来何も口にしてない」

「…え」

「……ハンストなんて、やめさせてくれよ。弱っていく姫なんか見たくねぇ」

辛そうな表情は本物だ。

……瞬間、サトコ様のもとに行かなくては、と思った。
行って、何を言えばいいのか自分でも謎だが、あの小さな華奢な肩を支えなきゃ、と思った。

こんな事態にしたのは他でもない俺なのに。

未来は作れないはずなのに。

だけど……そうだよ。
俺がどうしたいかって。
本音は、あの人の笑顔を一番近くで見たい。
あの人のそばにずっといたいに決まってるじゃないか。

俺は、体をよじり、ベッドから降りる。
少しふらついた体は、マサキ王子が支えてくれた。

「行くのか?」

「…はい…すみません」

ジュン王子がホッとした顔になり、イタズラっぽそうに笑った。

「マサキはさ。あんたのことが好きだから、本当は、あんたらが別れてくれた方が嬉しいはずなんだ。なのにこんな事を言う気持ち、くんでやってくれよな」

「ばっ…!ジュン!!!」

いきなり、自分に飛び火して真っ赤になって焦りまくってるマサキ王子。

……いい人たちだな。

俺は、くすりと笑い、

「……知ってます」

と言った。

「え?!」

彼は、ますます茹で蛸のようになった。

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