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キラキラ

第12章 ほたる ~バースト2~

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「ねーねー、今こんなこと思ったでしょー!?」


「えーなんで分かるの?かずくん!すごいなあ。」


「んふふー」



母親にびっくりされるのが嬉しくて。
ほめてもらえるのが、嬉しくて。
 
物心ついたころから、自分の不思議な能力を使っては、俺は母親にアピールした。

こんなこと思ったでしょ。
あんなこと考えなかった?


母親はその都度楽しそうにつきあってくれた。


「すごいね。かずくんは魔法使いみたいよ」


嬉しかった。
楽しかった。

だけど、俺は、能力のことについては、秘密にしてたんだ。
だって、その方が不思議度増すから。
わざわざ、種明かしなんかする必要ないもんね。


俺は、母親のまえでは、魔法使いであり続けた。



そして、そのうちに俺は、自分の周りの人間にもアピールしだした。




すごいでしょ。

なんでも分かるよ!

僕、魔法使いみたいでしょ!




「二宮くん、すごーい」

「えっ!なんで分かったの?!」



悪意なんてなにもなかった。
ただただ純粋にほめてほしかっただけだ。
ビックリしてほしかっただけなんだ。


家族ではない他人が、自分をどう思うかなんて、考えたことなんてなかった。



「…………え、なんで分かるの」



「………二宮くん、気持ち悪い」


「やめろよ、怖ーな」


「寄らないで」




………なんで、そんなこと言うの??


初めは驚いて、喜んでた友達。
なのに、だんだん、怪訝な顔されるようになり。
 


心を読まれてるみたい。キモい。

あいつの近くにいたら危険だぜ。



気がついたら、完全に孤立してた。


周りで囁かれる俺にたいしての評価。
聴こえてくる心の声。

耳を塞ぎたくてもきこえてくるマイナスの言葉の刃に、唖然とした。

誰も目をあわせてくれない。

誰も話をしてくれない。

近づいたら、危険とばかりに、俺のまわりから、誰もいなくなって。

そこで、はじめて自分がやった失敗に気がついた。


分かったんだ、やっと。






心を読まれて、嬉しい人間なんて、いない。





当たり前のようだが、子供だった自分は分かっていなかった。


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