
キラキラ
第37章 寵愛一身
松本の腕がちゃんと動くことを確認して、ほっとする。
俺は、上田らにお礼を言って、帰ってもらった。
そうして、
「松本さん……俺、喉かわきました」
「……ん」
俺は、もう一度学校内にもどることを松本に求めた。
松本に落ち着いてほしかったし、俺が松本と居たかった。
売店横の自販機でジュースを買って、二人でベンチに座る。
すると、
「あいつは……マジでやばいんだ」
それまで無言だった松本は、くやしそうに言って、髪をかきあげた。
「ナントカっつー古武術だの、キックボクシングだの、やたらといろんなことをしてて、そのどれもが天才的な能力で……あいつと、マジでやりあって、勝てるやつはいない」
「…………」
俺は、唖然とする。
どうりで、すごい動きだと思った。
そのへんの学生の喧嘩の仕方とは訳が違う。
「しかも相当の変わり者だ」
……そうだろうな。
「だから……めんどくせーやつって言ったんだ」
松本は、吐き捨てた。
