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キラキラ

第37章 寵愛一身


「潤!!」


そこへ、よく知る声が怒鳴りこんできて、俺は、涙目で、そいつを振り仰いだ。


「上田先ぱ……!」

「てめぇ、潤に何してんだ!こら!!」


走ってきた上田が、問答無用で、准一に、体当たりした。

だが、准一は、そこで無様に転がることはなく。
松本から一度離れたものの、体勢をすぐに立て直して、めんどくさそうな顔になった。

俺は、松本に駆け寄る。
松本は、肩で息をしながら、俺を抱き寄せた。


「おい!」

「おっと、お前はこっちだ」


ゴウが動きかけたが、そこへ藤井と相葉が待ったをかける。


四対二。


さすがに、騒ぎになりすぎると思ったのか。
准一は、おもしろくなさそうに肩をすくめて、


「……つまんね」


と、いった。


その声は、昨日から聞く声で一番低くて、一番怖い声で。
この人の本性だ、と、思った。

俺は、松本の腕を擦りながら、准一を睨みつけ、
怒鳴った。


「帰れよ……!もう!」

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