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キラキラ

第37章 寵愛一身


「……別に取って食やしねーよ」


ふんと笑って、もう一度手招きされる。


「…………」


まあまあの男前だ。
そして、眼光の鋭い男だと思った。

甘いマスクに騙されそうだけど、この目は怖い。

上に立つ人物の、あの気に入らないものには容赦ない感じが、松本や、大野に似てる、と、思った。

俺は、ゆっくりと近寄った。
だけど、何かあったらすぐ逃げれるくらいの幅はあけておく。
そんな俺をみて、その人は、くっくっと笑った。


「……さすがだな。あそこの学校はよく教育されてる」


いって、なんにもしない、という意思表示するみたいに、その人は両手をあげて肩をすくめる。


「……ジュン」

「いいんだ。黙ってろ」


ロン毛が、苛立つように、その人の名を呼んだが、その人は、ぴしゃりとはねのけた。

俺はドキリとして、固まる。


…………え……?



「……ジュン……っていうのか、あんた」


思わず問えば、


「……愛称だ。正確には准一」


片頬をあげて、その人……准一は皮肉げに笑った。

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