
キラキラ
第35章 屋烏之愛
Nino
夏休みが終わりを告げ、二学期がやってきた。
俺は、憂鬱な思いで、正門をくぐり、足取り重く荘厳な校舎に向かった。
今日からまた面倒な生活が始まるのかと思うと、まだ一年生なのに早く卒業したいと思ってしまう。
「はぁ……」
ため息をついて、靴を脱ぎ、便所スリッパみたいな校内靴をつっかけた。
真っ白な昇降口は、清潔感があふれ、問題なんかひとつもない学校ですよとアピールしてるかのよう。
周りで談笑する生徒たちも、制服を着崩していたり、髪を染めていたりしてるような、見るからにややこしそうなやつが多いわけでもない。
見た目は普通の学校の朝の風景だ。
だが……
「二宮」
名を呼ばれ振り返る。
「……相葉先輩」
夏休みでまた一段と明るくしたらしき茶髪。
腰ではいてるズボンにはジャラジャラいろんなチェーンがぶらさがってる。
……ぱんつ見えてんぞ……
赤い下着なんか趣味悪ぃわ……と思いながら、なんですかと向き直った。
「いつものとこ。あとで来て」
「もうすぐSTなんですけど」
「んな朝の会なんて、どうでもいいだろ。いいな」
「…………はぁ」
俺は渋々頷いた。
