
キラキラ
第34章 バースト9
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空っぽになったチカラを取り戻すのに、思いのほか時間がかかった。
「…………はぁ……」
クラスの連中の残念がる様子を一蹴して打ち上げを断り、早めに帰宅して少し横になった。
朝まで寝ないように、目覚ましとスマホのアラームを大音量にあわせて、少しだけ眠る。
すると、体力とチカラはちょっとだけ回復した。
そうして、集中して、なんとか跳ぶことに成功し、大野家の扉の前に立つことができたが。
俺は、インターフォンを押すことができず、その場から動けずにいた。
俺を助けてくれた直後の、翔の顔が頭から離れない。
どうしよう……絶対怒ってる
そもそも最初に怒ってたのは俺だったはずなのに。
どうしてこうなっちゃったんだろう。
俺は、うつむいて、スニーカーの先を見つめた。
優勝が決まったあと。
俺の機嫌が最悪だと察したクラスメイトは、ことさらに場を盛り上げて、俺たち……主に俺に最高の賛辞を送ってくれた。
暴走直後で、思うように動けないでいた俺は、さっさとワンピースを脱ぎ捨てて、椅子に座りこんでいたのだが、その態度が怒りまくっているように見えたらしく。
生田は、ごめんな、と、申し訳なさそうに謝ってきた。
『ごめん、松本。俺……あがって頭が真っ白になって、段取り忘れちまって。苦し紛れだったんだ、あれ』
「………………」
『悪かったよ』
「……もういいって」
俺には、生田を責める権利はあるだろうけど、あまりに彼がしょんぼりしてるものだから、怒る気も失せてしまった。
笑って、すまんすまん!って言ってくれでもしたら、責めようもあったのに。
