
キラキラ
第34章 バースト9
「よくぞ、この役を引き受けてくれた!松本!ありがとうな」
生田の言葉を皮切りに、あちらこちらから、ありがとうの言葉があがる。
別に優勝したわけでもなんでもないのに、気の早いことだ、と思う。
でも、これだけクラスのやつらに感謝されるのも……悪くはないな、とも思った。
常に、人との関わりを避けてきた俺にとっては、クラス単位で活動するもののほとんどを、不参加、もしくは幽霊並みに無気力で対応してきたから、こんなイベント事の中心になることなんか、皆無だったから。
「……優勝……できなくても俺のせいにすんなよ」
ぼそっと言ったら、
「いや、絶対できるから大丈夫!」
と、生田が自信満々に言ってのけた。
……ほんとかよ……
不信感しかないものの、俺たち二人は、クラスのみんなに万歳三唱をされながら、講堂に向かった。
準備のできたクラスがぞくぞくと舞台袖に集まってくる。
講堂の舞台から、客席にのびるランウェイが作られているようで、そこを歩くだけだという。
正面に審査員が座っており、そこにむけて何かしらのアクションをするとのことだ。
……そーいや、雅紀のクラスは、着ぐるみでダンスとかいってたよな……。
そんなん相手に、ほんとに勝負できんのかよ……?
俺が不安げな顔をすると、
「一応、設定は切り裂きジャックとそのヒロインだから、おまえ登場と同時に逃げてな」
「……おう」
「先頭で立ち止まってくれたらいい。あとは俺が適当にアクションするから」
「……分かった」
俺は、もうなるようになれ、とうなずいた。
