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キラキラ

第5章 hungry


練習を終え、部室に移動しミーティング。

今日の反省と、明日の課題を話し合い、いつもより少し駆け足で切り上げた。

「おしっ。行こっか、翔ちゃん」

雅紀が張り切って、タオルを手にした。

「ああ」

俺も、手にしたスポドリを飲んで、頷き立ち上がった。

井ノ原先輩が電話をかけていたのは、岡田先輩だった。
もちろんバスケ部OBだ。

井ノ原先輩と岡田先輩と大野さん。
この三人と対決だなんて………大野さんは、ともかくとして、井ノ原先輩と岡田先輩は、なんたって、この夏まで、レギュラーはってた二人だ。

岡田先輩は、体はそんなに大きくないけど、シュート率が、ずば抜けて高かった人だ。そんなとこから?っていうような場所からのショットも、気持ちいいくらい決めてた人。

井ノ原先輩は、エースとして、オールマイティーに走り回ってた人。
足も早くて、ドリブルテクニックは、ピカイチだった。

大野さんは、バスケットボールがどれくらいできるのか知らないけど………。
でも、同じコートで、一緒に試合ができるなんて、それだけでテンションあがる。

そんな人たちを相手に、3on3。

………ヤバイ。わくわくしてきた。

先輩方を体育館で待たせたままだ。
アップしとくって、言ってたけど。
急がなくちゃな。

………あれ。

ふと、俺は大事なことに気づく。

「雅紀? 3on3なら、俺らのチームあと一人は………?」

「いるよ」

「……俺ですけど」
 
雅紀の後ろから、ひょこっと顔を覗かせたのは二宮。

「帰ろうとしてたのに、つかまりました」

「いいじゃん~!つきあえよ~」

「わ、もーっ離してくださいよっ」 

雅紀に、後ろからガバッと抱きつかれて、二宮は真っ赤な顔で身を捩っている。

なるほどといえば、なるほどな人選。
お遊びとはいえ、レベルの高いお遊びになりそうだから、洒落を知ってて、なおかつ実力者じゃなきゃ。

それに、雅紀のお気に入りだしな。

「二宮。本気だしていいからな」

俺の言葉に、雅紀の腕の中からなんとか脱出した二宮は、はーいと、ゆるーく手をあげた。

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