
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
「ああ……そういうことなのね。じゃあ……留守なのは残念だったわねぇ……」
女性は顎に手を当てて、困ったわねという顔をした。
ここの隣で靴屋をしているという女性は、記憶を巡らすように視線を泳がせた。
「一ヶ月前くらいにね。ここの店主の奥様が急に具合が悪くなったものだから、私が娘であるタエさんに連絡したの。そしたら、カズナリくんも来てくれて……」
カズナリくんって……?という目でショウとジュンが俺を見た気配がしたから、早口で、
「ミヤの本名です」
と言った。
「しばらく二人で看病されてたんだけど、ある日突然、知り合いからよい医者を紹介してもらったからそちらで看てもらうことになった、と挨拶に来られてね……」
「よい医者?」
「なんでも、設備の整った施設があるから、と先方のご厚意だそうよ」
……そんな……
「……それは、どこかご存知ですか?」
上擦りそうな声を抑えながら祈るような思いで聞いたら、
「さぁ……そこまでは……」
女性は、首をかしげた。
俺は目の前が真っ暗になった気がした。
そんな……!
これじゃ、ふりだしだ。
こんなの探しようがないじゃないか……!
絶句して固まった俺の横から、ショウが口を挟んだ。
「なにか手がかりになりそうなこと、言われてなかったですか?私たち、どうしてもその二人にお会いしたくて……」
「うーん……そうねぇ……」
女性はしきりに首をかしげるも、特に目立ったことは思い出せないという。
俺は絶望を隠しきれなかった。
この広い町を……どうやって探せというんだ?
そもそもこの国にいるかどうかもあやしくなってきたじゃないか……。
「分かりました。ありがとうございました」
何も言えなくなった俺に代わり、ショウが頭を下げる。
そのあと、ジュンに促され、俺もゆるゆると頭を下げた。
にこやかな笑顔を残し、隣の靴屋に入って行く女性を見送る。
「さあて……どうします?姫」
ジュンが俺の手をギュッと握った。
