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Perfect Romance

第5章 一歩前へ


そのあとは、俺もお化けを楽しむ余裕は全くなく
怯えるにのを支えながら出口に向かった

にのは耳を塞いでいても、どうしても入り込んでくる音に
時々ビクッと反応して体を震わせる

「大丈夫」と言い聞かせるように背中を擦って宥める俺の手は
違う意味で震えていた


ようやく出口にたどり着いた時には
二人ともそれぞれ理由は違うけど
お互いぐったりで

…何だか凄く悪い事をした気分

にの、怒っちゃったかな

「にの、大丈夫…?」
俺の問いかけに、にのが泣いた後の真っ赤な目を向ける

「うん…」
それ以上は、俯いて何も言わない

だから、思わずしてしまった告白の返事なんか
聞けるわけもなくて

「ありがと、にの。次はにのに付き合うよ」
この空気感を変えるべく
わざと明るく言って、離れたにのの背中をポンと軽く叩いた

「…もう1回、あれ乗りたい」
そう来たか

まあ、そんな気はなんとなくしてた

お化け屋敷の前に乗った…アレ

「了解。…行こうか」
あれだけ可愛いにのを堪能したんだから
ジェットコースターくらい、何て事ないよ!

…うん。…多分

「あれ乗ったら…帰ろ」
歩きながらにのが呟いた

「え…最後までいて構わないよ?」
「ううん。もう、充分」
「…そっか」



遊園地の〆は
…俺の情けない絶叫で幕を閉じた


カッコ悪い…(泣)

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