
Perfect Romance
第5章 一歩前へ
怖くて仕方ない場所で
これ以上ない位にドキドキしてる時に
特に嫌いじゃない人がそこにいて
自分を助けてくれたら
そのドキドキが、目の前にいる人に対してだと脳が勘違いしちゃって
自分はこの人を好きなんだ
…って思い込んじゃうってやつ
だってにの、抱き締められてるのに暴れない
場所が場所だから、逃げられないのもあるんだろうけど
何も言わないにのに、もう一度伝えようとしたら
後方から他のお客さんの声が聞こえてきて
…そしたらにのが慌てて俺を引き剥がして
「…行くよ!」
先に進む為の、観音開きの扉に手を掛ける
あ、と思った時にはもう遅かった
開くと同時に上から人形がぶら下がってきて
「やだぁぁぁっ!」
にのはその場に蹲ってしまった。
「にの…大丈夫?」
「も…やだっ」
…泣いちゃったよ
ここまで恐がるのもまた、想定外で
今日のにのは、朝から俺の中の予想を遥かに超えすぎてる
蹲るにのの横にしゃがんで、小さく震えているにのの頭をそっと撫でる
「後少しだから。俺にくっついて目を瞑って歩こ?」
「音もやだ!」
駄々っ子みたいに首を振るにのが可愛くて仕方ない
「じゃあ、耳塞いで目を閉じてて。俺が連れてくから」
それなら怖くないでしょ?
撫でながら、小さな子に言うように優しく囁く
「…絶対離さないでよ」
涙目でじっと俺を見つめるにの
何この破壊力
…この場で押し倒していいですか?
ヤバすぎだよ、本当
