
Perfect Romance
第5章 一歩前へ
にのも、隣に座ってカップを傾けている
「…ごめん」
今度は俺が謝る番
「いや、謝る必要ないし」
そう言ってまたカップを傾ける
「相葉さん、実は絶叫系苦手でしょ」
「昔は、割と平気だったんだけどね…」
もう、素直に認めよう
決して「割と平気」は「好き」とイコールじゃない
むしろ、乗らなくて良いなら乗らない
「何で言わないのよ…」
「だって…」
ここまでにのがテンションあがると思ってなかったし
のんびりと、アトラクションも
ぼちぼちと乗って過ごすだろうと予想してたんだもん
だけどあんなに楽しんでるにの見たら
自分の事なんか後回しにしちゃうでしょ
「…そろそろ帰ろっか?」
「えっ!?」
「俺だけ楽しむのも悪いし…相葉さん、もう無理でしょ」
そんな事言いながらも寂しそうな瞳
そんな目、させたくない
「大丈夫だから!だからまだ遊ぼ?」
「でも…」
何とかにのの気持ちを浮上させなきゃ
きっとこのまま問答を続けても、気持ちは簡単には変わらない
あ!
閃いた
俺が遊園地で唯一の大好きなモノ…
しかもにの、何気にそこは行かないように避けてたような
…もしかして形勢逆転、狙えるか?
「じゃあさ、今度は俺に付き合って?」
「え…」
「そしたら俺も、楽しめるから。…それなら帰るって言わないよね」
飲み終わったカップを、ベンチ横のゴミ箱に捨てて立ち上がる
とっくに空になっているにののカップも、ひょい、と取り上げて捨てた
