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Perfect Romance

第5章 一歩前へ



ゆっくり回る観覧車は
もう、後少しで地上に戻る

名残惜しいけど
俺は、にのに重ねた手をすっと離した

「んふ。充電完了」
「…ばーか」

冗談めかしてしまえば
ぎこちなくならなくて済むからね

「次は何行くの?」
「んー…あれかな」

…やっぱりそう来るか

一番人気のジェットコースター

最初に並ぼうと思ったけど、あまりの待ち時間に後回しにしたアレ

観覧車から見たら、並んではいるけど最初程ではない

「…了解です」
「充電完了したんでしょ?まだまだ行くよ」

作り笑いの、気乗りしない俺を見抜いたにのは
まるでイタズラっ子みたいな笑顔を見せた


観覧車を降りると、待ってましたとばかりに
「行こ!」とにのが俺の腕を取る

「わわっ」
バランスを崩しかけて、転びそうになるけど
何とか持ちこたえた

「大丈夫ー?」
口だけで心配してるふりで、にのは足を止めない。

「だ…大丈夫っ」
もう、苦笑いしかなかった


列に並んで、ようやく一息つく

「これね、凄く乗りたかったんだ」
にのの弾んだ声

「テレビで見て、気になってたんだけど…誘う人なんかいないし、諦めてたの」

列が少し進んで、再び止まると

「だから、凄い嬉しい」
…これ以上ない位の笑顔

もうさ、これが恋人じゃなくて何なの?

俺、本当ににのが好きでたまらない

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