
Perfect Romance
第21章 さよならは言わない
どのくらいの時間そうしてたのか分からないけど
櫻井さんが
「今日は直帰だな…」
と呟いた時、かなりの時間を無駄にしてしまった事に気が付いた
ようやく涙も止まって、落ち着きも取り戻して
…物凄い後悔に襲われた
櫻井さんに、悪い事しちゃった
ひたすら俺に付き合わせてしまった
…本当は午後にもう1件行く筈だったのに
俺がバカみたいに泣いたりしたから、予定まで狂わせてしまった
「…すみません」
情けなくて、顔が上げられない
櫻井さん、さすがに怒ってるよね…
「…いいよ、そんなこと」
だけど、櫻井さんの声はとても穏やかで
しかも背中を撫でてくれちゃって
…恐る恐る顔を上げてみたら、何だか凄く嬉しそうにしてて
「櫻井さん…?」
こんな嬉しそうな顔、初めて見たかもしれない
「なんかさ、すげー嬉しい」
「え…?」
櫻井さんからの意外な言葉
「こんなに寂しがってくれるとは思わなかった」
そう言ってから
背中にあった手を上に上げると、俺の頭をガシガシしてきた
