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Perfect Romance

第21章 さよならは言わない


大野さんにそんな強い意思があった事も驚いたけど

二人ともいっぺんにいなくなってしまうショックの方がやっぱり大きくて


「……っ」
ちょっと気を抜くと涙が滲んでしまう

こんな、人が多い昼時にスーツ着た男が泣いてたら
変な目で見られる事は分かりきってるのに


だから涙が出ないようにと唇を噛み締めるけど
我慢しているせいで、顔が歪んでいく



「ふはっ…何だよその顔」
櫻井さんが、俺を見て笑った瞬間

「だってぇぇぇっ!」
…俺の涙腺は崩壊した





さすがに俺もだけど、櫻井さんも慌ててしまって

早々に店を出て、あまり人がいない公園のベンチに俺を移動させた


「泣くなって…」
櫻井さんは完全にお手上げ状態

俺も泣き止みたいのに、頭の中に “いなくなる“ って浮かぶ度に涙が溢れてしまって
自分で収集付かなくなっている


怒る事も呆れる事もなく
櫻井さんは隣に座ってくれていて

時々、ポンポンと俺の頭を軽く叩いていた

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