テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第3章 冒険の旅へ

 同じ様な石を組んだ家のドアを、押して開ける。


 四角いテーブルと、丸い椅子がいくつか並べられ、何人かの老若男女が座っている。


 奥にある縦に切った丸太で組まれたカウンター台には、沢山のツボが並べられてある。


 その奥にいる、黒いチャイナドレスの様な布を身にまとう40代くらいの女性に、近寄ってみた。


「はーい、御来店」


 その女は艶めかしい口調で言った。


「あのさぁ、ここにバンタリンって人がいるって聞いたんやわ。どの人?」


 純化は軽く聞いてみた。


 女はキセルを口に持っていくと、白い煙を美味しそうに味わう。


 その煙が徐々に固まって、一本の矢印を型どった。


 その矢印の先は女を示している。


「わっ!! すごい」と純化は思わず声を上げる。


「私がバンタリン。何か御用?」


 そう言って矢印に息を吹き掛けると、また白い煙と化した。


「ねぇ、お姉さん、酒飲み屋ってのはどこなん?」と球也が尋ねる。


「あら、お姉さんだなんて、嬉しいわ。酒飲み屋、ここも酒飲み屋よ」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ