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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

「おい、プーロンって……なんか、ゆるキャラみたいな名前だな」と勇樹が笑う。


<プーロン……あの世界では、恐怖と破壊の魔獸って意味です>


「意味はごついな。見た目ゆで玉子かと思って割ってみたら、中は血に濡れた眼球みたいな」


 コウヤの例えは、グロテスクだった。


「プーロン様に言ってません! ペタロに言ってるの!!」


 闇の純化は何度も声をかけつづけた。


 その声が届いたのか、ペタロの顔が反応した。


 ゆっくりと目蓋が開く。


「……じゅ……んか……さん?」


「ペタロ!」


 人間の純化よりも、闇の純化の方がペタロに執着していた。


 同じ妖精であり、闇の者としての感情が強いのだろうか?


 純化はその様子をジッと見ている。


「あの顔と、純化になにかあったのか?」と勇樹が聞いた。


 それに莉子が答えた。


「そっか、あんたは知らないんだよね。なんか人型のカビの怪物があの世界にいて、そいつから出る粒子が妖精には病原菌らしいの。で、その病気を治療してたのが、あのペタロって人。まさか、あんな状態で会うなんてねぇ……」


 その話に純化が加わった。


「でも、ペタロさんは、体は闇の者でも、心は人間との共存を望んでいた。うちは、そんな気持ちが好きやった。でも、妖精同士、闇の者同士の気持ちが通じ合ってる純化の方が、ペタロとはお似合いなんやね」


 純化はやや残念そうに言った。



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