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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 ついに、闇の帝王が地上に降りた。


『ズズン』という、地響きとともに、振動が伝わってくる。


 体長80メートルはあるだろうか? 球也達がいるビル屋上を覗きこめるくらいだ。


 だが、闇の帝王は次々と体を大きくしていき、その姿もよりハッキリと確認できた。


 全身、青みがかった黒いウロコに包まれ、体の至るところに人や動物の顔が見える。帝王の顔は狼のようにも見える。額にはブルーに光る丸い石が埋め込まれていた。


「うおおお、帝王様!! 帝王様!!」


 タクノアンは両手を上げると、闇の帝王の口の中に吸い込まれていった。すると、闇の帝王の右肩に、タクノアンの顔が浮かび上がった。


「我が、一族の繁栄を邪魔するのはどこの者じゃっ!!」


 まるで、ボイスチェンジャーで加工したような声で、そう問いかける。


「帝王様、やつらでございます」と言ったのは球也だった。


 球也が示す指先には、闇の神仏達がたたずんでいた。


「きさまらかぁーーっ!!」


 闇の帝王はそう叫ぶと、闇の神仏目掛け、拳を振り落とした。


 あまりの勢いに、いまいるビル屋上の床の一部がえぐれてしまった。


「おい、あいつ、敵と味方の区別がつかんのか? やつら、紙兎みたいにペラペラになってるぞ」


 勇樹は潰れた闇の神仏を、少し哀れに感じた。


「いや、薄くなってるんじゃなく、床にめりこんでるの。それに、闇の帝王は、出てきたばっかりで、まだ目が見えないのよ。チャンスはいま」


 そう説明したのは、なんと闇の純化だった。


「ちょっとあんた、いま、うちに押さえられてたから、助かってんで。感謝しいやっ!!」と純化。


「感謝したから、教えたんだ!! て言うか、こんな状況であんたに感謝できるかっ!!」と闇の純化が怒り口調で返す。



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