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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 球也のバッティングで、見事にボールが、タクノアンの腹にヒットした。


 タクノアンは腹を押さえてうずくまる。


「こら、ジジイっ!! あんたのせいで、やってはいけないバットの使い方をしてもうたやんけっ!! 人に当てるために野球やってるんとちゃうで!!」


「ぐぐぐ……なら、しなくてよかったんじゃないのか?」


「やらへんかったら、あのままあれが成長してまうやんけ!」


「成長か……」


 タクノアンは苦痛に顔を歪めながらも、少し怪しげな笑みを浮かべた。


「まあ、よいわ。わしが溜めた力をすべて注ぐつもりだったが、もう大丈夫じゃろう……おい、わしの頭上にバットを振り上げるんじゃない!!」


「あ……」


 球也はバットを横に置いた。


 すると、タクノアンの周りに、コウヤ、勇樹、輝、莉子、純化が集まってきた。


「おい、じいさん。お前が連れてきた連中、ボッコボコにしたぞ」とコウヤが後ろを指差した。


 見ると、闇の神仏達が、全員倒れている。


「なっ!!」


 タクノアンは絶句した。


「知ってるで」と球也が口を開く。


「実は、さっきソーヤに聞いたんや。表の神仏さんは、神の技を使う以外は、人間の力で充分に倒されるほど、力が弱い。闇と光は表裏一体のようなもの。つまり、同じや。だから、パワーリーフを食べた僕らからしたら、指でアリをつぶすようなもんやで」


 タクノアンはうなだれながら、ソーヤを見る。


 ソーヤは再び、石になっていた。


「……フッフッフ」


 タクノアンは笑っている。


 球也はバットの先を、タクノアンに突き付けた。


「なにが、おかしいんや!? まさか、ピンチになってると見せかけて、自分らには、まだ奥の手があると、高笑いしながら発表するんちゃうやろなぁ……」


 タクノアンは空を指差した。


「そう言う前に、あの闇の帝王を無いもの扱いするんじゃないわっ!! 誰一人も、あれに注目しとらんじゃないかっ!!」




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