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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 そんな勇樹に、純化が声をかけた。


「あの、うち、いま左のお尻のど真ん中に大きなオデキがあるんやわ。そこを思いっきり突いたって下さい」


「なに?」


「かなり痛いと思います」と純化は自分のお尻をさする。


「……よし、やってみるか」


 勇樹はいったん手を離し、闇の純化の体を、技をかけているコウヤごとひっくり返した。


「イテーーっ!! おい、佐田っ!!」


 プロレス技の4の字固めは仰向けの状態でかけるため、かけられている方は激痛だが、そのままうつぶせに返されると、かけている方まで痛くなる。


 コウヤと輝と闇の純化の悲鳴が響き渡る。


「悪いな。しばらく我慢しろ」と勇樹が闇の純化の尻をまさぐる。


 やってるのがコウヤなら、間違いなく尻の感触を、まず楽しんでいることだろう。


 勇樹が闇の純化のお尻に、ボツンとした感触を見つけた。


「ここかっ!!」


 勇樹は両手親指でオデキを根元からつまみ、一気に絞り上げた。


 ドクドクと、なにかが吹き出る感覚が、指に伝わってきた。


「ぎぃゃーーーーっ!!」


 激痛に耐えられず、大きな叫び声を上げた闇の純化は、その場から消えた。


 残ったのはうつぶせにへたりこむ、コウヤと輝の姿だった。


 闇の純化は、その2メートルほど先に、うつぶせで尻を浮かせ「への字」状態になりながら、尻をおさえていた。


「お、お、おのれ……あの男を人質にしようと思ったが……」


「無理や」


 純化が、闇の純化を見下ろす。


「うちとあんたは産まれた時からずっと一緒やった。人間と闇の者との違いはあるけど、あんたはうちでうちはあんたや。あんたの弱いところは、うちの弱いところ。つまり、うちがおったらあんたの弱みはすぐわかるんやで」



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