テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 闇の純化は、アゴを突き上げ、目を細めた。


「たかだか人間が、闇の魔力をもつ我が一族に、どう刃向かうき? それに、なんの輝きもないのに、輝という名の男がどうなってもいいのかい?」


「一言余計だこの野郎!!」


 輝が闇の純化の中で、頭と両手を上下左右に動かしまくる。


 闇の純化は、大人しくしろと言わんばかりに、自分の腹に出ている輝の顔を、拳骨で何度も殴打した。


 だが、同化している分、自分にもダメージがかかる。


「うわっ!!」


 闇の純化は輝の額に拳を当てたが、ちょうど自分のみぞおちを強く打ち当てたため、横たわって悶絶をうった。


「おい、今のうちにとりおさえるぞ」と勇樹が闇の純化の両腕を、掴んだ。


 続けてコウヤが、闇の純化の両足に、プロレス技の4の字固めをきめた。


「おらおらっ!! 女だからって容赦はしねえぜっ!! なんせ、てめえは闇の者だからなぁっ!!」


 コウヤはグイグイと足を締め付ける。


「ギャーッ!! やめろっ!! 痛い!! 痛い!!」


 叫んでいるのは、輝だった。


 そう、同化しているため、痛さは輝にも伝わってくる。


「はぁっ!? お前まで痛いの?」


 コウヤがそう言いながら足をゆるめる。


「ま、待ってくれ!! コウヤさん……」


 輝が苦しそうに言った。


「どうした……?」


「俺のことはいい。闇の者に攻撃を続けろ!!」


 輝は自分を犠牲に、闇の純化を倒せと言う。


 コウヤは躊躇せずに、「それでこそ男だっ!!」と、攻撃を続けた。


「あぎゃーっ!! それでいいはずなのに、言ったことを後悔しているのは、なぜっ!?」


 輝の額からは脂汗がにじむ。


 ただ、技をかけずに両腕を固めているだけの勇樹は、絶句しながら、見ているだけだった。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ