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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

「お前、そんなグロテスクな状況で、助けを求める前に名前の呼び方で怒るんじゃねえっ!!」とコウヤが苦い表情で言った。


 純化と莉子が、それに返した。


「うちは占い師の時は純化って名乗ってるけど、ほんまは加田純って言うんやからね!!」


「私も、桃尻娘ってあだ名つけられてるけど、百地ですから」


「いや、今は名前はどうでもいいですやん。とにかく、ユン……輝さんを助けましょ」


 球也は怒られると思って、言いかえた。


 すると闇の純化は高笑いをし、輝の顔を撫でた。


「私はもう人間と妖精の混血混合純化ではない。完全なる闇の者となった。そして、新たな人間の細胞を取り入れることにより、私は強靭な力を手に入れた。そのために、私は輝を選んだ」


 腹部に浮き出た輝が、苦しそうな表情を浮かべる。


「待て……とりあえず、輝の名で呼んでくれてありがとうと言わせてもらう。それになぜ、俺なんだ?」


「お前が一番、存在が薄そうだったからさ」


 なぜか一同、納得だった。


 闇の純化と同化した輝は、顔を上下左右に激しく動かした。


「チクショーっ!! バカにするんじゃねえぞ!! だったら、今すぐこの輝様の存在をわからせてやるよ!!」


「おい、ユング! 無理をするな!!」


「俺は輝だっ!! てか、今言ったのは誰だ!! 頑張っても無駄みたいな発言は、この状況でよろしくないぞっ!!」


 見ると、コウヤと勇樹が口を塞ぎながら笑っていた。


 莉子はため息をついた。


「ちょっと、なんか、闇のボスがなんとかかんとか出るっていうけど、こっちの方がインパクトありすぎて、拍子抜けしてんだけど……」


「そうだよ、おい、闇の純化。早く大将出しやがれ!!」


 コウヤがけしかける。



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