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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

「ま、待て待て桃尻、なんかここまできたら、でっかい魔王が出てくる以外は、まったく驚かなくなってきた」


「だからって、仲間が一人減って純化が一人増えたら、驚く以外なにもないでしょっ!!」 


「て、ことは、どっちかがユングってことか?」と勇樹が二人の純化を指で示した。


「ええっ! じゃ、目の前にいるうちはユングってこと?」


「なんで、私がユングなんよ!! あんたの方がユングちゃうの!?」


 二人の純化は向き合いながら、言い合いを続ける。


「あ、わかった!」


 突然、球也がパンと手を叩いて言った。


「キュウ、なにがわかったんだ」とコウヤが問う。


 球也はよほど自信があるのか、鼻息を荒くして、二人の純化の前に立った。


「わかったでぇ〜、どっちが偽物か……」


「なにっ!!」 


 全員の目が、球也に注目した。


「純化さんは、京都生まれの関西人。どっちかと言えば、京都弁より僕と同じ関西弁をよう喋ってます。で、一人称はいつも、うちって言いはります。だから、さっき自分のことを私と言った、あなた!!」


 球也はむかって左側に立つ純化を指差した。


「つまり、あなたが偽物だっ!!」


「こっちが偽物って!?」


 莉子は、球也が示した方の純化をマジマシと見つめる。


「あのぅ……」


 右側の純化が口を開く。


「うち、たまに標準語がでるから、私って呼ぶときもあるよ」


「なぁっ!?」


 球也は膝から崩れ落ちた。


 すると……。


「クックックックッ……」


 一人の純化が笑いだした。


「えっ!? 純化さん、なにか思い出し笑い?」


 球也がそう尋ねてみる。



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