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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

「ちょっとバカっ! あんた、なにやってんのよ!!」と純化が、もう一人の純化の行動を止めた。


「あぁ〜、残念」とコウヤと勇樹は肩を落とした。


 球也は頭を右手人差し指で、ポリポリとかきながら、再び、ある疑問を投げ掛けた。


「あのぉ〜、たびたびすいません。なんやかんやとある中で、気になることがもうひとつ……ユングさんは?」


 全員、ハッとした。


 気が付けば、ユングこと輝の姿が見当たらなかった。


 コウヤと勇樹は一度、球也の顔を見たあとに周りをキョロキョロと見渡した。


「あれっ!? そう言えば……さっきまでいたよなぁ。小さいから気が付かなかった」とコウヤが言った。


 勇樹も、端の端まで目で探して見る。


「円陣を組むまではいたぞ。ションベンでもしに行ったのか?」


「佐田が名前を呼んでいたのは覚えてるぜ。小さいと言えば、ソーヤもいないな」


 球也は石を差し出した。


「ソーヤなら、いま休憩して石になってますよ」


 それをさりげなく、勇樹が見た。


「一番の頼りがコレかよ。いま、なにかが起こったらヤバいよな」


 少し弱気な勇樹の発言に、コウヤが挑発をかけた。


「なんだ、怖いのか? 意外と臆病じゃねえか」


 勇樹はムッとした。


「てめぇは怖くないのか?」


 コウヤはグッと拳を握って、ニヤリと笑った。


「誰が怖いんだ? 相手が強ければ強いほど、俺はワクワクウキウキすんだよ。どうやって勝ってやろうか、考えるだけでも楽しい」


「二人とも、言い合いしてる場合じゃないでしょっ!! なにかが起こったらって、もうすでに起こってるでしょっ!!」


 莉子が二人の純化を指差しながら、言葉の雷を落とした。




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