テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 気をゆるせない。いつ、どこから、どんな形で、どんな速さで来るかがわからない。


 球也は背中を合わせながら、ある疑問を投げ掛けた。


「あの、コウヤさん、ちょっと聞いていいっすか?」


「なんだ?」


「僕の左側には純化さんがいますよね」


「まあ、いるよなぁ」


 コウヤは球也の左側を覗きこむ。


 球也は一度、ゴクリと喉を鳴らした。


「それだったら……莉子さんと佐田さんの間にいるのは誰ですか?」


「はぁっ!?」


 コウヤは自分の後ろにいる相手を見た。


 莉子と勇樹は自分の隣にいる者を見た。


 勇樹はさらに、自分の反対隣も見た。


「な、なに!?」


 勇樹は声を上げた。


「えっ、どうなってんだ?」とコウヤも驚く。


「どうして?」


 莉子は異様な光景に戸惑う。




 純化が二人いる。


 純化本人は最初は驚きのあまり、なにも言えなかったが、もう一人の自分をマジマジと見つめると「えぇっ!! なんでぇっ? うち、こんなにかわいいのぉ!?」と顔を赤らめながら言った。


 すると、もう一人の純化も「えぇっ、やっぱり鏡は嘘やなかったんや。真実しか写さへんかったんや」と意気投合していた。


 誰もなにも言わなくなった。


 二人の純化は、なにもかも、まったく同じ。


「おい……どっちが本物なんだ?」


 コウヤは二人の純化の顔を交互に見る。だが、背丈もすべて同じだ。


「すげえな、芸が細かいなぁ、服まで同じって、よく用意したもんだな」


 勇樹は腕を組み、頭を左右に振る。


「よし、二人ともパンツを脱げ!! チ○コついてる方が偽物だ!!」


 コウヤが笑いながら言った。


「ちょっと、アホなこと言わんとって!!」


 一人の純化が怒鳴るように言った。


 すると、もう一人の純化が、自分のデニムパンツのベルトに手をかけた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ