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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

 地面から膝に伝わる振動が、体の支えを失わせる。


 ヌカーはくくられた状態で、笑いながら横たわっていた。おそらく揺れによって、倒れたのだろう。


「見よっ!! この地が目覚めようとしている。今期は、我ら妖精と我が大地となった闇の者が復讐のために目覚める時。ここに連れてきた人間がしくじったのなら、この大地に姿を変えた我が母なる天の力、闇の神仏様自身が怒りを哀しみを、いまーー」


 最後のシメの言葉を言えぬまま、巨大トカゲに食われてしまった。


 グラグラと揺れながら、ドン引きと言う名の空気が流れた。


「なぁ、ペタロさんとやら。わしはもう、他の村や町の結界は切らん。あんたみたいな人もいるとわかった以上、妖精をすべて敵としては見ない。あんた、逃げきって、生き残った妖精たちに更正するように訴え続ければいかがかな?」


 膝をつき、気持ちを切り替えた淀屋橋が、ペタロの肩に手を添えて、この地を離れることをすすめた。


 ペタロは目を閉じて、頭を横にふる。


「私の気持ちを伝えたところで、私自身、闇の者の生まれ変わりなんです。見てください、あの怪物どもを……次は私を狙っている。闇の血が流れている以上、運命に逆らうことは出来ない……それが、いまわかった。この地の揺れ、私に訴えかけてます」


 さらに、揺れが大きくなった。


 やがて、地割れが起こり、球也達は地にへばりつくことしか出来なくなった。


「ソーヤ!! なんとかしろっ!!」


<ちょっと待って、揺れてたらなんもできへん>


 球也は、奈美と純化の手を取り、奈美は淀屋橋を掴まえた。


 淀屋橋は手を伸ばし、ペタロを掴もうとした。


 だが、淀屋橋とペタロの間に、大きな地割れが出来た。


「あんた、落ちるんじゃないぞ!!」


 淀屋橋はペタロに声をかける。



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