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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

<ほんなら、うちらの存在はどうなる? うちらはあんたら妖精が亡くなった後の魂みたいなもんなんやで!!>


 ソーヤが疑問を投げ掛けた。


 ヌカーは一度、吐血したあと、それについて答えた。


「ハァハァ、年をとるとこんなにも早く病が進行するものなのか……精霊か……どうやら神仏どもが我々を更正させるために、命がつきたら精霊になるように、あえて精霊の大地という世界を作ったんじゃろ。だから、いまいる精霊の大地の住民は、今の精霊のことや妖精のことしか知らんからな。我々と同じように表の神仏のことを悪いやつと思いこんでおるわ……。まあ、精霊の便利さを利用してやつらを滅ぼすための道具にしたのは、我々の先祖さまだがな」


<なんやて!! うちら更正されたもんを、ほんまもんの神さん仏さんを倒すための道具にしたって!? うちら死んだら、またあんたらみたいな妖精に生まれ変わるんいややわ!!>


 すると、ペタロがソーヤに顔を近付けた。


「大丈夫。中には私のようなやつもいる。あなたはきっと、心優しい妖精になる。私は、彼らに出会ってよかったと思っている。もし、出会わなかったら私も他の民と同じように、神仏を敵として見ていたに違いない」


 そう言うと、ペタロはすでに崩壊された家屋を眺める。


 過去の業の結果が、いま、自分が見ている現状。


 村人はすべて消え、自分はここに生き身となって存在している。


 怪物達の目は、ペタロにむけられていた。


『ゴゴゴゴゴゴ……』


 突如、地響きがおこり、大地が揺れ動いた。


「うわぁっ!! 地震!?」


 球也はヨタヨタとふらついた。



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