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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

 そのペタロが、淀屋橋の元にやって来た。


「すいません、もうやめてください。私はペタロと言う……あなた方で言う医者と同じものです。私は人間と天の守り者達との共存を強く願っているものです」


 そこに球也が、トントンと淀屋橋の肩をつつく。


「この人の話は詰め詰めで長いから、聞いてると眠たくなりますよ」


「わかっとる、その点はわしと同じ匂いがすると思っておったんじゃ」


 ペタロは、まだ体力が戻っていないのか、地面に座り込み、すぐに土下座の状態になった。


「球也さんの仲間である純化さんも病気が治りました。ワラワラの感染を消し去る薬もあります。出来るなら、人間の病も治したいし、勉強していきたい。どうか共存のご協力をお願いします。御老公様」


「わしゃ、水戸黄門かい。しかし、安心せい。お釈迦様に話をしたら、願い事を1つだけ叶えてやると言うのでな、50に増やしてくれと言ったら、その願いに関しては5つまでだといわれてなぁ。それなら最初から、5つにしとけって話じゃ」


「その5つとは……」


 ペタロは頭を上げ、耳を傾ける。


 やがて、その周りに奈美も純化も集まってきた。


「1つは、この世界にはある悩みや願いがあってやってきた人間がいる。すでに、出された者もいるが、その者達の願いを叶えてやってくれと」


 それを聞いた純化「それ、1つやなく、ある意味複数やん!! お釈迦様は太っ腹なんか、アホなんかわからへんなぁ」と呆れた表情で言った。


「もう1つ。奈美の仲間が、ここの怪物の病原菌によって感染しておる。それを治してくれと……」


 それは純化のことだった。


 ペタロはうなだれた。


 自分の推測がほとんどはずれたのだ。



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